富山県の葬儀は他とは違っているところがあります。まず全国では友引の日にはお葬式を行わない事が多いけれど、ここでは友引の日にも行っています。そこでこの時は棺の中には身代わりの人形を入れるようになっています。
また四華花を必ず用意して祭壇に飾るようになっています。これは木の棒に細く切った紙をたくさん挟んだ四華花はお釈迦様が入滅の時にその死を悲しんだ沙羅双樹が真っ白な花をつけて遺体を覆ったことに由来していると言われています。
また呉西の地域では火葬場へ移動をする時喪主と遺族が白装束を着る風習があります。また善の綱と呼ばれる風習もあります。これは出棺の時に柩に白いさらしの布を結び遺族がその端を持って引きます。これは布を引っ張るのは近親者の女性や子供が多く、故人を善いところへ導くという意味があります。
富山県の葬儀にはしきたりがあります。
冠婚葬祭などの民俗的な儀礼は、長い時間を費やしながら人々の気持ちを組み入れ、今日の形態に至っています。その中には、今の科学技術の時代医にはそぐわないものも多く見られます。しかし、葬儀など人間の力や知識ではどうにもならないことを前にしたときの感情的な面を組み入れ、意味を持たせるために成立した儀礼も多いといわれています。
現代では、民俗的な習慣は特に地方や郊外、農村部において顕著となっています。富山県の葬儀では、宗教、宗派によってはない場合もありますが、今でも遺族が棺に結んだ白いさらしを引っ張るという風習が残っている地域がありますが、その形は少し変化して、白い布を持つだけに代わっています。
これは善の綱と呼ばれ、故人を正しいところへ導くとされています。受け継がれている風習も簡略化されることがある場合のひとつといえます。